健康寿命とフレイル、そして認知症との関係について(1)
就活(就職活動)の面接での質問やエントリーシートにおける項目の中で最も多い課題の一つが
「10年後の自分」
「10年後どんな自分になっていたいか」
についてだそうです。
就活指導でも模範回答がいくつも用意されていて、例えば、
「はい。正直なところ10年後の具体的なイメージは描けていません。
しかし、私の長所である企画力と創造力を伸ばし続けることで会社への貢献をいたしたいと考えています。」
だそうです。(笑)
今日は、こちらもこれからの10年間とその前の期間の話題に焦点を当ててみます。
このブログでも何度か触れている健康寿命と平均寿命の間に横たわる約10年間(ここでは「要介護期間」とします。)のお話と、その前の期間についてのお話です。
少し厳密にいうと、2019年男性の平均寿命81.41歳、健康寿命72.7歳でその差は、8.71年、女性は、それぞれ、87.45歳、75.4歳、その差は、12.05歳。その差の期間は、支援や介護を必要とするなど、健康上の問題で日常生活に制限のある期間です。言い換えれば、誰かの世話にならないと生活ができない「介護を必要とする期間」です。
人は、その期間に入る前に、「健康な状態と要介護状態の中間」期間を経験しますが、その期間は、身体機能や認知機能の低下がみられる状態の期間であり、その状態を「フレイル」(Frailty)といいます。
この調査では、フレイルかどうかを把握するために、世界で最も使用されているFried指標が使用されています。
(Fried指標については次回のブログでご説明いたします。)
そして、この度、日本で初めて!(というのは私にとって大きな驚きなのですが)、本年9月東京都健康長寿医療センター研究所によって、特定地域でなく全日本の地域在住の日本人高齢者(65歳以上)全体に占めるフレイル割合が明らかにされました。(代表サンプリング方式によるデータ分析)
その調査によりますと、高齢者の8.7%の人がフレイルの状態でした。そしてほどなくフレイルになるであろう前段階(プリフレイル)にある高齢者の比率は、40.8%、健常者が50.5%という結果になっています。
地域的には、冬型の気圧配置ではありませんが、西高東低になっており、西日本で比率が高く東日本が低いということが判明しました。
また、女性、高齢、社会経済的状態が低い、健康状態が悪いほど、フレイル割合が高い傾向だということもわかりました。
一方、平成30年版高齢社会白書によりますと、65歳から74歳では、要支援は1.4%、要介護は2.9%でなかなかいい数字なのですが、75歳以上では、それぞれ、9.0%、23.5%と急激に悪化しています。
・フレイル、プリフレイルに突入しない。
・フレイル、プリフレイルから健常の状態に戻る。
・フレイル、プリフレイルで踏みとどまる
ことが肝要です。その鍵は?!
次回は、そこらあたりも含め、フレイルかどうかの判断を行うFreid 指標他、フレイルと認知機能の関係等についてお話します。