脳神経の寿命
これまで、運動器の寿命、血管の寿命について、何を食するのがその寿命を延ばすのに有効かということをメインにお話をしてきました。
このシリーズも、次回で終了する予定です。
今回は、脳神経とその役割について、そして最終回は、何を食べ、何をすれば脳の神経が元気に長生きできるかのお話です。
脳神経とその役割
最初に質問から。
Q1 脳にある神経細胞の数はどのくらいあるのでしょうか?
Q2 毎日どのくらいの神経細胞が死んでいるのでしょうか?
Q3 情報を伝える神経細胞の軸索と情報を受ける樹状突起の間を、シナプス間隙と言いますが、その幅は、どのくらいでしょうか?
答えの前に、脳、脳の役割について少し。
脳の構造は、イラスト等でご覧になられたことがあるでしょうか?こんな感じです。
脳は 大脳(前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉)、小脳、脳幹(間脳、中脳、橋、延髄)の三つに大別されています。
大脳は、感覚受容器(目(視神経)、耳(聴神経)、鼻(嗅神経)等)で感じた光、音、臭いなどを脳に伝える知覚機能および脳の指令に従い、手、足等の運動効果器を動かす機能(一次機能)と、記憶や情動、認知という高度の精神作用(高次機能)を担当しています。
小脳は、筋肉、腱、関節等の感覚器で感知している運動感覚、内耳からの平衡感覚、位置感覚等、運動調節機能を司っています。
脳幹は、中枢神経系に大きく関わる部位が集まっている器官です。長さは7.5㎝位の小さいものです。しかしながら、生命維持のために24時間働いている、意識、呼吸、循環の調節を行い、自律神経を制御し、睡眠、覚醒の調整にも深く関わっています。
脳の重さは、1.2㎏~1.5㎏程度。平均すると女性の方が男性より少しだけ軽いようです。女性の脳が軽いといっても、何ら問題はありません。当然ですが!ちなみにかのアインシュタイン博士の脳は、1,230mgで、日本人男性の平均より軽いそうです。
それでは答えを。
Q1
脳にある神経細胞の数はどのくらいあるのでしょうか?
A1
大脳に約100億個~数百億個とも言われていますが、大体150億個でよいと思います。小脳その他で、1000億個~1500億個だそうですが、「あんた見たんか?」と言われたら、皆、下向きます。(笑)
Q2
毎日どのくらいの神経細胞が死んでいるのでしょうか?
A2
これも誰も見てへん!と自信を持って言えますが、約5万~15万くらいじゃないかと、お偉い先生が仰っております。では、90歳まで生きるとして、20歳から毎日15万ずつ神経細胞が死滅するとしたら、どのくらいの数になるでしょうか?
150,000個 × 365日 ×( 90歳 – 20歳 )= 3,832,500,000 (約38億個!)
この数字は、全体(150億個)の割合から言えば、さほど大きくはありません。しかしそれぞれの神経細胞が、膨大なネットワークの一翼を担っていることを考えると、85歳以上の方の5割以上が認知症であるという事実 と 細胞の死滅数は大いに影響していると考える方が妥当でしょう。
と同時に、90歳では、脳の重量が最大10%軽くなり、わずかに縮むことが明らかになっています。このことは、神経細胞間の信号伝達に何がしかの障害が発生し、認知機能が衰えることにもつながっていると考えられます。
Q3
情報を伝える神経細胞の軸索と情報を受ける樹状突起の間を、シナプス間隙と言いますが、その幅はどのくらいでしょうか?
A3
一般的に、20ナノメートルと言われています。1ミリメートルの5万分の1です。想像つきますか?
シナプスは、神経細胞一つに100個から10万個もあるといわれています。
神経細胞の中は電気信号で情報を伝達し、シナプス間隙は、神経伝達物質が放出され隣の神経細胞までは化学物質による信号伝達が行われていると考えられています。
どのような理由で、シナプスが存在し、20ナノメートルという狭い中で、一体何が行われているのか、も~大変な数の疑問が科学者によって解明されようとはしていますが、まだまだ何世紀とかかるのではないでしょうか。
宇宙の研究ではなく、研究する人類の頭に、ちょこんとついている物体の中身が、まだまだ未開拓って、いや~ほんと!不思議ですね。