カカオとチョコレートとポリフェノール(7)
-カカオポリフェノールとジオスゲニンの合体に向けて-
カカオポリフェノールについて(2)
ココアとチョコレートの違いの続き
前回、ココアとチョコレートは、製造工程の途中まで一緒と申し上げました。今回は、具体的に製造工程を見てみましょう。
ココアとチョコレートの製造工程
- 結実したカカオの花は、6ヶ月程度で完熟して、みなさんご存知のカカオポッドが出来上がります。ポッドには、約35個~50個程度のカカオ豆が、果肉である少々プルプルしたカカオパルプに包まれたようにして入っています。それをそのままバナナの葉で包み、1週間程度発酵させます。[i] 発酵したカカオ豆は、天日や熱風で乾燥させます。[i] バナナの葉を使用した発酵方法は、西アフリカ、ベトナムなどで見られますが、中南米の大型農園などでは、階段状に積んだ大きな木箱を使用し、状態を見ながら上から下に移動させる方法が主流。基本的には、産地、規模、慣習等によっていくつかの発酵方法がありますが、工程の中で、特に香りの要素にかかわる重要な工程なので、さらに色々と研究されるものと思われます。
- 乾燥されたカカオ豆から悪いものやごみを取り除き、砕いて外皮を取り除きます。その豆をカカオニブといいます。この時点で、目指しているフレーバーを醸し出すためにいくつかの異なったカカオニブを加えブレンドされることが良くあります。
- カカオニブをすりつぶすと、含まれているココアバターという脂肪分と相混ざってドロドロしたカカオマスが製造されます。
- カカオマスを圧搾するとココアバターとココアのもとになるココアケーキの塊りがとれます。この工程までが、共通の工程で、カカオマスにココアバター、砂糖、乳製品など加えるとチョコレートになり、ココアケーキを細かく砕くとココアパウダーの完成です。ココアパウダーは、砂糖や、粉乳が加えられ独自のココアパウダーが造られます。
現代の科学技術では、本当に簡単にココアとチョコレートが製造されます。私が見てきたわけではないのですが、歴史的には、紀元前から17世紀までは単純にカカオ豆をすりつぶしてできる固めの液体に、香辛料等を加えて飲んでいたそうで、18世紀に入っても、牛乳が加えられはしたものの、ココアバターの油脂分が多いために牛乳にも溶けにくく飲料としてのココアはあまり進歩しないまま、しかしお金持ちに愛されながら19世紀を迎えることになりました。
皆様ご存知のバンホーテン氏が1828年に、カカオマスから油脂を分離して粉末にする発明をいたしました。この発明によって、お湯にも溶けるようになり、「ココア」という商品が出来上がりました。
一方、この発明によって、ココアバターを副産物として抽出することになり、このココアバターを使って約20年遅れで、イギリスのフライ氏が固形のチョコレートの製造に成功して、今、われわれが食している原型が出来上がりました。