-カカオポリフェノールとジオスゲニンの合体に向けて-
カカオポリフェノールについて(3)
圧倒的なポリフェノールの含有量
チョコレートには、前にご説明したカカオマスを使用しているので、お茶やコーヒーなどの葉や、豆から抽出された抽出物とは異なって、豆が持つ栄養、成分すべてが含まれています。
その為に格段に多いポリフェノールやミネラル、植物繊維を多量に含んでいます。
カカオポリフェノールの量は、リンゴの約3.8倍、皆様にお勧めしている赤ワインと比べれば、約4.6倍もの多くのポリフェノールを含んでいます。これが素材丸ごと使用する素晴らしさで、効率的に摂取しやすくしています。
カカオポリフェノールの効果
チョコレートの身近さゆえか、チョコレート好きの研究者が多いからなのか・・・。21世紀になっても、未だなお本当に多くの研究がなされており、多種多様の効果・効能について新しい研究成果が発表されています。
報告されている効果・効能を大別すると、
- 血管を広げる作用による血圧上昇の防止
- LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑え、血管壁にコレステロールが蓄積することを防ぐ機能により血管をしなやかにする作用
- ポリフェノールの増加に伴いHDL(善玉)コレステロールが増え、血管壁から余分なコレステロールを引き抜いて肝臓に戻す機能増加
- 抗酸化作用
紫外線により引き起こされるシミやそばかすの原因は活性酸素です。カカオポリフェノールの抗酸化作用による(活性酸素[i]を除去)美肌効果
[i] 活性酸素:これは厄介な単語です。わかったようでなかなかわかりにくいものです。酸素は、色々な物質と反応しますが、より反応しやすくなった酸素を「活性酸素」、金属が酸素に触れて錆びるのを「酸化反応」といいます。お肌には悪い活性酸素ですが、漂白、抗菌、防臭等の効果は、ほとんど活性酸素の効果をうまく利用しているものです。
またまた、横道にそれますが、人間を含む動物では、酸素は血液によって全身に運ばれています。このことは、体のすべての器官を酸化させ、痛め傷つかせ、究極的には破壊してしまいます。三大生活習慣病といわれる、ガン、心臓病、脳卒中にも、活性酸素が深くかかわっていることが明らかになっております。我々が関わっている脳神経系では、脳梗塞、脳出血、アルツハイマー病等、それ以外にも、糖尿病、アトピー性皮膚炎、動脈硬化、白内障など様々な疾患に活性酸素が引き金になっているといわれております。
一方、身体の中には、個人差はありますが、多種多量の抗酸化物を有して普段からそれらの疾患に負けないように戦っています。
ポリフェノールの反対語のような活性酸素についてもう少し。
SODとミトコンドリア
ここであまり聞きなれないSODとミトコンドリアについて簡単に。
SOD(Superoxidedismutase)は、細胞内に発生する活性酸素を分解する酵素でタンパク質からできています。SODは、速やかにスーパーオキシド(スーパーオキシドアニオンを含む化学物質で、一般に活性酸素と呼ばれる化学種の一種)を酸素と過酸化水素水に分解します。
SODが造られる場所が、ミトコンドリア(細胞に含まれる細胞小器官)と細胞です。最近、ミトコンドリアを増やして健康になる方法などが良く喧伝されていますが、一言でいえば、体でエネルギーを消費すればするほどミトコンドリアは増えて、活性を増し、病気を遠ざけることができるということのようです。
SODは、カタラーゼやグルタチオンペルオキシターゼなどと同様に体内で作られる抗酸化物質で、働きはそれぞれ異なるのですが、その中でもSODは最も重要な抗酸化物質の一つとして考えられています。
SODなどの抗酸化物質の主成分と必須アミノ酸
SODなどの抗酸化物質の主成分はタンパク質からできていて、タンパク質が不足すると、体内で必要な量の抗酸化物質がつくられず、これは一大事になります。
ご存知のように、タンパク質は、アミノ酸からできていますが、体内で合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼ばれています。読み流していただければ結構ですが、必須アミノ酸は、8種類またはヒスチジンを加えた9種類あります。ヒスチジン、リジン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニンです。これらは、食品から摂取する以外に方法はありません。持論ですが、食品から摂取することができるものは、楽しいお食事で極力摂取すべきだと考えています。これらの必須アミノ酸がバランス良く配合されている食品を数値化した「プロテインスコア」というものがあります。
一部ご紹介いたします。是非ご参考にしてください。(あくまで食品単体評価ですが、必須アミノ酸を全種類バランスよく摂取しないと有効利用されないので要注意:ウイキペディア「必須アミノ酸」の項をご参考に)
筆頭は、鶏卵とサンマが100点(卵黄:89点、卵白100点)、鶏レバー93点、牛乳85点、鶏肉、牛ロース84点、白米81点、アジ78点等。
次回は、ポリフェノールの最終章です。