-カカオポリフェノールとジオスゲニンの合体に向けて-
美白のフェルラ酸と更年期障害対策のイソフラボン
今回は、美白、酸化防止等に有効と言われているフェルラ酸と、更年期の症状等に有効と言われているイソフラボンについてお知らせします。
フェルラ酸
まずは、フェルラ酸についてお話しましょう。
フェルラ酸は、食品添加物としては酸化防止作用、化粧品用途では、メラニン生成抑制作用、また、アルツハイマー病への効能も注目されています。
フェルラ酸は、前に説明したファイトケミカルとして、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体で、多くの植物体の器官に存在します。コメ、麦類、大豆などから抽出されます。
抗酸化作用を食品添加物として利用して、カプセル、錠剤などの固定剤、キャンディ、ガム、グミ、ゼリー、ドリンク等液剤などに使用されています。
メラニン生成抑制効果、紫外線吸収作用を利用して、石鹸、洗顔料シャンプー、化粧水、ファンデーション、リップクリームなどの化粧品として使用されています。
フェルラ酸ってアルツハイマー病に有効!?
また最近、フェルラ酸のアルツハイマー病への効果も取りざたされています。これはフェルラ酸の抗酸化作用をフィーチャーしています。効能はサプリメントなので、直接的には述べられていません。いくつかの商品のコピーを見てましょう。
★「年齢を重ねてもスッキリと冴えわたる毎日」
★厚労省化学特別研究「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」から「うっかり」または「うっかり予備軍」の2012年と2025年の数字グラフを引用して、「うっかり、もやもやには」
★「ハッキリ冴えわたるクリアな毎日へ」
これらのコピーから、どのような効果を訴求したいのかは自明かと思われます。しかしながら、それらの商品は、すべて、イチョウ葉から抽出されるエキスを含み、商品によっては、ウコンエキスや、ココナッツオイル、DHA、EPA、レシチン、ホスファチジルセリンなどを配合されています。(まさにオールスター的な成分)フェルラ酸単独ではありません。それらの効能を述べることは本来の趣旨ではないのですが、一つだけ申し上げることがあるとすれば、単純にフェルラ酸だけで認知機能のサポートができるという回答は、残念ながら導き出せないのではないかということです。
一方、イチョウ葉のエキスも、最近の大規模な臨床研究では、認知機能に効果がないということが発表されております。個人的には、色々な研究結果があり、すっきりしないのですが、だから、「もやもや予備軍の私は」上記の商品を飲めということでしょうか?・・・かな?!
イソフラボン
次はイソフラボンについてです。
ウイキペディアで皆様がイソフラボンの項目を見ても、かなりちんぷんかんぷんだと思います。簡単に大事なことだけ述べますと、イソフラボンは、ほとんどの豆類に含まれており、一般的には大豆からの摂取となります。大豆イソフラボンは、大豆が成長する際、芽になる部分(胚軸)に多く含まれています。
スーパー働きもの「エストロゲン」をサポートする大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」(卵胞ホルモン)に似た機能を有していますが、更に強い作用を発揮するのは「エクオール」という成分です。エクオールも、大豆イソフラボンに含まれているダイゼインというポリフェノールが、腸内細菌によって代謝を受けてジビドロダイゼインという中間体を経て生成されます。ただややこしいのは、このエクオールを作れない人が、日本人では約5割いるということです。個人差や、タイミングによって生成にばらつきがあることが大きな課題でした。少し(大分?)話がそれますが、大発見なので名前を挙げさせていただきますが、大塚製薬さんが、エクオールを産生する安全性の高い乳酸菌ラクトコッカス20-92株を発見されて、「ヒロインは続く」「さて。この先どこまで美しく生きますか。」のキャッチフレーズでサプリを販売されています。
というわけで、イソフラボンは細胞を衰えさせる活性酸素の働きを抑制する優れもののポリフェノールです。
エストロゲンは加齢とともに失われ、更年期障害が起こってくるのですが、大豆イソフラボンに加え、より大きな働きをする、大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールがエストロゲンと同様の働きで症状を軽くします。
エストロゲンは、実に働き者です。健康な身体の女性が持っているもののほとんどが、エストロゲンの働きの影響を受けているといっても過言ではありません。新陳代謝促進によっての美肌・美髪効果、からだの基礎の骨の強化、規則的な生理周期、皮下脂肪の適正な調節による丸みのある体の生育、膣や膀胱の伸縮性・自浄作用維持等々盛り沢山です。その他にも、悪玉コレステロールの排除、いろいろな説はあるものの、癌のリスクを減らす効果、アルツハイマーの進行阻止の効果も報告されています。エストロゲンの偉大さを、大豆イソフラボンで補えるとは素晴らしいことですね。
骨粗鬆症、そして乳がんにも
骨粗鬆症について少し詳しく言えば、カルシウムが骨から溶出して発症します。更年期を過ぎて女性ホルモンの分泌が少なくなると、年間約2%程度の骨量が減少します。大豆イソフラボンおよび、その代謝産物であるエクオールは、エストロゲン様作用によって、その骨の溶出を抑える働きがあるとされています。
また女性のもう一つの悩みと言われている乳がんも大豆イソフラボンによって予防できるということが言われています。特に21世紀に入って各国で研究が盛んに行われていますが、日本でも2006年国立がんセンターによってコホート研究[i]がなされました。
みそ汁バンザイ!
その結果は、みそ汁の摂取が多いほど、乳がんになりにくい。イソフラボンは乳がんの発生率減少と関連がある。そして、閉経後は、イソフラボンを多くとった方が発生率の低下が顕著ということです。
日本人の大豆製品の消費量は減少しています。平均摂取量約18㎎に対し必要摂取量は約50㎎と言われています。豆腐1丁約55㎎、納豆(1パック50g)65㎎、油揚げ1枚約100㎎だそうです。
適正量をきっちり食べて、美しい熟女時代をなが~く楽しんでくださいね!!
がんセンターのレポートのURL
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/258.html
[i] コホート研究:現時点または過去のある時点で、研究対象とする病気に罹患していない人を大勢集め、将来にわたって長期間監察医追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているか確認する調査。この場合、多くの方々のイソフラボンの摂取量と乳がんの関係の調査