カカオとチョコレートとポリフェノール（３）
－カカオポリフェノールとジオスゲニンの合体に向けて－
「ファイトケミカル」って何？
前回のブログ(https://blog.resilio.co.jp/20191106)で
「ファイトケミカル」とは何ですか？
というご質問をいただきました。ありがとう
ございます。簡単にご説明からいたしましょう。
まず、「ファイト」は、健康になるため戦う、
元気を出す「ファイト！」ではなく、英語の
「phytochemical」を、日本語読みしたもの
です。phyto- は古典ギリシャ語のPhutonから
来た「植物」の接頭語。phytohormone(植物
（性）ホルモン)や、phytoplankton(植物プラ
ンクトン)などの単語があります。
一般的に、身体機能維持的には必要ないが、
健康に影響を与えると考えられる植物由来の
化合物を指します。植物が紫外線や昆虫など
から自らを守るために作り出した化学物質で
す。「ファイトケミカル」の最も期待されて
いる健康への効果は、今取り上げているポリ
フェノールに代表される抗酸化力です。
今回は、主要なポリフェノールのうち、ルチ
ンとクルクミンのお話をしましょう。
ルチン－血流改善、毛細血管強化－
ルチンは、タデ科の韃靼（ダッタン）ソバや
ソバの実に含まれ、抗酸化作用を持ち、中国
では昔から漢方薬にも使われ、毛細血管を強
化し、動脈硬化や糖尿病等の成人病予防に効
果があるといわれています。その他、オレン
ジやグレープフルーツなどの柑橘類の果実や
果皮にも含まれています。
韃靼ソバと普通のソバは、普通種のソバと韃
靼種のそばに分別されますが、二つの種の大
きく異なる点は、苦味成分の含有量の差とい
うことです。すなわち、韃靼そばには、普通
ソバに比べ約８０～１００倍ほどのルチンが
含まれています。苦味は、ルチンが分解され
てできるケルセチンによるもので、加水処理
によって、普通ソバは、ほとんど分解されな
いのに対し、韃靼ソバは、加水処理によっ
て大量に、且つ急速に分解されケルセチンに
ほとんど変換されてしまいます。しかしなが
ら、現在は加熱処理などで安全に変換を抑え
ることが可能になっています。
ルチンは、海外では血管保護薬剤として多く
使用されており、また抗炎症効果や、血流改
善効果が謳われています。
日本では、今や、韃靼ソバや韃靼ソバふりか
け、延いては韃靼らーめんまであります。
是非ご賞味あれ！
ただ、そばアレルギーには、くれぐれもご注
意を！！ ごくごく少量でもアナフィラキシ
ーショック[i]を誘発することがあります。
[i] アナフィラキシーショックは、アレルギー
反応の一つで、外来交代に対し免疫が過剰に反
応し、複数臓器に強烈なアレルギー症状が
急激に表出することです。
クルクミン－肝機能の保護－
クルクミンは主にウコンに高含有される黄色
のポリフェノール化合物です。ウコン以外にも
カルダモン、クミン、コショウ、パプリカ
などにも含有されています。
クルクミンの由来は、アラビア語の「Kourkou
m」（香辛料という意味）から名付けられたと
いわれているが、ほかにも由来があり定かでは
ありません。
クルクミンについて最近多くの研究が世界的に
なされていますが、これは、クルクミンの持つ
可能性が大きいと考えられていることによると
推測されます。日本では、クルクミンは、昭和
46年6月1日に厚生省（当時）薬務局長通知「無
承認無許可医薬品の指導取締りについて」（薬発
第４７６号）で示された医薬品の範囲に関する基
準において、医薬品に分類されており、効用効果
を述べない限り食品扱いにされています。しかし
ながら、クルクミンが、in vitro試験（試験管内、
生体外試験）、動物試験において多岐に亙る多数
の生理活性を示していることにより、肝疾患、骨
格異常、肺疾患、神経変性疾患、癌、循環器疾患、
感染症等に係る領域において臨床試験、予防、
治療が試みられています。
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