目次
1.はじめに
2-1.(全文引用)機能性表示最新情報269号/不思議な認知機能クレーム 2840(2022/10/15)
2-2.林田氏の主旨(まとめ)
3.認知機能の衰えとは
4.認知機能検査方法
5.総指標得点に有意差があるということ
6.当社の考えー認知機能というものは独立して存在するものではない
1.はじめに
巷で有名な
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薬事法コンプライアンスのノウハウ―薬事の虎―
~2840号~(2022/10/15)
<実績No.1>発行部数:28250突破
Produced by 林田学*
*大学教授・弁護士を経て現在YDC社主。日本でただ一人リーガルマーケティング(R)を実践し数々の成功事例をプロデュース
YDC会員数515社(10/01現在)
措置命令・課徴金対応217件(10/01現在)
機能性表示届出関与171件(10/01現在)
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に取り上げられました。
誤解を生まないようにこの記事に記載されたものを少し長いのですが、全文引用させていただきます。
そのうえで当社の考えをお伝えしたいと思います。
(引用開始)
2-1.Subject:機能性表示最新情報269号/不思議な認知機能クレーム 2840(2022/10/15)(全文引用)
「◆H400 健脳ジオスゲニンゴールド
「本品には、ジオスゲニンが含まれます。ジオスゲニンには、健常な中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能があります。」
ジオスゲニンによる認知機能の事例はこれで3例目になります。他の2件はE420とF652で、届出表示は全く同一です。
この届出表示の特徴は、「加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能」とされているところです。通常であれば、「認知機能の一部である記憶力(日常生活で生じる行動や判断を記憶し、思い出す力)を維持する機能」のように、認知機能の中の記憶力などに限定し、さらに、その記憶力についても評価方法に基づいた具体的な内容を表示することが求められるはずです。しかし、そうなっていないのはなぜでしょうか?
別紙様式5-3には以下のような記載があります。
「一方、総指標得点においては試験薬群により有意に値が高くなった。このことは、試験薬によって変化する認知領域が個人によって異なっているものの、合計点で見ると試験薬群の方の得点が勝ることを意味しており、本試験薬が特定の認知領域にのみ効果を示すものではないとい う特徴も逆に示唆される。前述した通り、総指標得点は、下位 5領域の合計点を反映するも のであるが、単純な平均値化や足し算ではなく標準化されたスケールによって変換された数値である。総指標得点に群間の有意差が示されたことは紛れもない事実であり、統計的にも概念的にも何ら問題ないと考える」
ようするに、総合得点では有意差があるものの、細分化した「記憶力」や、その下の「日常生活で生じる行動や判断を記憶し、思い出す力」にあたる部分では有意差がないということです。そこでH440(原文ママ 正しくはH400)では、総合得点のみの評価に学術的にコンセンサスがあることを説明し、「加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能」を導いたわけです。エビデンスと届出表示の対応関係については、上記で説明できているとして、しかしこの届出表示にはまだ不思議なところがあります。本年の3月末に行われた認知訴求への指導内容から考えると、こんなに限定のない表現でも問題ないのでしょうか? 「加齢に伴い低下する認知機能」は対象とする範囲が広すて(原文ママ)、指導で問題とされた物忘れなどの領域にも抵触してしまいそうです。
3/31以前に受理されたE420とF652はともかくとして、届出表示を変えずにH440(原文ママ 正しくはH400)が受理されたのちょっと驚きです。一度は受理されている届出表示なので甘く見られたか、それともスルーされたというところでしょうか。漠然としていればよいということなのかもしれません。」
(引用終了)
2-2.林田氏の主旨(まとめ)
弊社の商品についてご関心をお示しいただき、ご意見いただいたこと誠に光栄に嬉しく存じます。
もしかしたら、他にも氏と同じようなご感想をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この件に関しまして、弊社の考えを述べさせていただきたいと存じます。
この記事における林田氏の主旨は、
- 認知機能にかかわる届出表示としては、通常「認知機能の一部である記憶力(日常生活で生じる行動や判断を記憶し、思い出す力)を維持する機能」のように、認知機能の中の記憶力などに限定し、さらに、その記憶力についても評価方法に基づいた具体的な内容を表示することが求められるはずです。本年の3月末におこなわれた認知訴求への指導内容(消費者庁)から考えるとこんなに限定のない表現でも問題はないのか?
- 下位5領域で有意差がないにもかかわらず総合得点(総指標得点)において有意差が出ていることについては、「エビデンスと届出表示の対応関係については、説明できているとしても」と記載はあるが、十分に納得するものではない。(と、捉えました。この感想は主観があるかもしれません。)
この2点について、ご理解をいただけるように、少し詳しくご説明させていただきます。
3.認知機能の衰えとは
「認知機能」とは、脳の中の幅広い働きのことを指します。
例えば、知覚、判断、記憶、学習、注意、言語など、外界を理解するための脳の働きや、予定された行動を段取り良く執り行う能力(遂行能力)のことを指します(認知機能の”領域“と呼ばれています)。それぞれの認知機能領域を制御している脳の回路は別々だと考えられていますが、機能的にはどれかの衰えは他の衰えにも影響します。例えば注意力が落ちれば、判断力も学習力も鈍り、記憶力が衰えれば遂行機能も損なわれます。また、軽度認知障害(認知症予備軍)の人たちを対象にした研究では、記憶、言語、注意、遂行機能のいずれも加齢に伴って低下することも示されていますが(文末注*1)、どの認知領域が衰えやすいかには当然ながら個人差があります。
認知症かどうかを診断するのに汎用されているスクリーニング検査にMMSE (Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)がありますが、この検査で調べる内容は、 時間の見当識、場所の見当識、3単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写と、なっておりこれらの総合点数の低下で判断します。これは、低下し始めている認知機能領域がいずれであっても漏れなく検出できるようにするためです。
4.認知機能検査方法
認知機能検査は、大別すると、複合的認知機能検査と下位認知機能に特化した検査に分かれます。下位認知機能に特化した検査は、その名の通り特定の認知機能領域を評価する検査です。一方、複合的認知機能検査では、認知機能障害のスクリーニング(認知症か否かを判断する)を目的とした検査と詳細検査とがあります。スクリーニングには、「改訂式長谷川式簡易機能評価スケール(HDS-R)、「Mini-Mental State Examination」(MMSE)、「Montreal Cognitive Assessment」(MoCA)、「Addenbrook‘s Cognitive Examination」(ACE-Ⅲ)、「Cognistat Assessment System」(CAS)などがあります。これらの検査結果は総合点で判断することが基本です。
複合的認知機能検査の中でより詳細な検査を目的としたものとして、代表的な検査方法の二つを紹介します。
一つは「Alzheimer‘s Disease Assessment Scale-cognitive subscale(ADAS-cog)」です。
これは複合的ではありますが主に記憶力を中心とした検査で、視空間機能、判断力、抽象思考能力、注意力については評価しません。
二つ目は、ジオスゲニン・ゴールドの臨床試験で採用した、「Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status」(RBANS-アーバンス)です。
アーバンスは、12の下位項目の評価点の合計から5つの認知機能領域(即時記憶、遅延記憶、視空間・構成、言語、注意)それぞれの指標得点に換算、個別のプロフィールを得ます。5つの認知機能領域の指標得点合計を年齢群別に総指標得点へ換算します。ジオスゲニン・ゴールドの臨床試験では、ジオスゲニン・ゴールド摂取による総指標得点の向上を有意差を持って認識でき、これによって機能性表示食品として届出を行っております。アーバンスの下位項目の結果に注目する使い方ももちろん可能ではあります。しかしアーバンスは複合的認知機能検査であり、維持される認知機能領域に個人差があっても漏れなく検出できる特性がありますので、総指標得点の結果は重要であると考えます。アーバンスは、丁寧なプロセスで実施される検査であり、世界的にはもちろん、日本でも採用される機会が増加してきております。
5.総指標得点に有意差があるということ
前述しました通り、ジオスゲニン・ゴールド、健脳ジオスゲニンゴールドにおける臨床試験では、総指標得点で有意に向上したことが確認されました。
ここで総指標得点に有意差があるということは一体どういうことなのか、わかりやすく解説してみます。
被験者Aさん、Bさん、Cさんがいたとします。
認知機能検査では
・Aさんは 即時記憶、言語 の2領域
・Bさんは 遅延記憶、注意力 の2領域
・Cさんは 視空間・構成 の1領域
において、成績が向上したとします。3人とも、その領域では向上がみられたが、他の認知機能領域での成績は同程度(変わらない)だったとします。
この場合、3人の向上した認知機能領域はバラバラなので、それぞれの項目(下位項目)では成績が有意に向上したとはいえません。
しかし、認知機能としては3人とも向上しています。
総指標得点で有意差があるということは、個別の下位項目で判断するのではなくその下位項目を総合した上位項目である認知機能領域で有意差があるということなのです。
説明のために、非常に簡略化してお伝えいたしました。実際にはもう少し複雑な統計(標準化されたスケールによって変換)処理によって算出します。単純に下位項目得点の加算や平均で算出しているわけではありません。
6.当社の考え―認知機能というものは独立して存在するものではない
当社の考えといたしましては、認知機能領域というものはそれぞれ独立して存在するものではなく、相互に関連し、相互に影響し合い存在するものであり、おおむね加齢に伴って低下していくものではありますが、どれから低下するとか、どれが特に低下するといったことは個人差があるだろうと考えています。
臨床研究では、複合的認知機能検査によってジオスゲニン・ゴールドの総指標得点の向上が証明され、かつジオスゲニン・ゴールドが特定の認知機能領域にのみ効果を示すものではないという特徴が示唆されました。
この考え方に基づいて「ジオスゲニン・ゴールド」および「健脳ジオスゲニンゴールド」の届出表示は、
「健康な中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能があります。」
としております。
よって認知機能の様々な領域にご心配をお持ちの方々に広くご利用いただけるのではないかと考えています。
薬事の虎では、「本年の3月末に行われた認知訴求への指導内容から考えると、こんなに限定のない表現でも問題ないのでしょうか? 「加齢に伴い低下する認知機能」は対象とする範囲が広すて(原文ママ)、指導で問題とされた物忘れなどの領域にも抵触してしまいそうです。一度は受理されている届出表示なので甘く見られたか、それともスルーされたというところでしょうか。漠然としていればよいということなのかもしれません。」と書かれています。
当社といたしましては、消費者庁 食品表示企画課 機能性表示食品制度ご担当の方々が、前回も今回も決して甘く見たとかスルーされたということではなく、各下位認知機能の役割および総合指標の優位性の持つ意味を十分にご理解をいただいた結果であると受け止めております。
「健脳ジオスゲニンゴールド」の届出表示が、現在販売中の「ジオスゲニン・ゴールド」と同様の届出表示にできたことを大変嬉しく存じます。
この届出表示ができる「ジオスゲニン」製品を皆様に自信を持ってお勧めし、多くの方の「いつまでも笑顔の生き活きライフへ」の一助となることを願っております。
商品名 | 健脳ジオスゲニンゴールド |
届出番号 | H400 |
届出表示 | 本品にはジオスゲニンが含まれます。健常な中高年の加齢に伴い低下する認知機能を維持する機能があります。 |
機能性関与成分 | ジオスゲニン |
*Huang W, Li X, Li H, Wang W, Chen K, Xu K, Zhang J, Chen Y, Wei D, Shu N, Zhang Z. Accelerated Brain Aging in Amnestic Mild Cognitive Impairment: Relationships with Individual Cognitive Decline, Risk Factors for Alzheimer Disease, and Clinical Progression. Radiol Artif Intell. 2021 Jun 23;3(5):e200171.